9.デイパックで来た俺

 俺の母ちゃんも兄弟も黒だった。なんで俺だけが白黒の美猫に生まれたかは解らない。多分父親が黒じゃなかったんだろうが、そんな事は知るものか。
 そんなある日、俺は黒の兄弟と2人、プラスティックの箱のような物に入れられた。
「何だこりゃ!」
「知らないけど‥母ちゃんはどこなんだ?」
 そこにはもう1人茶色い斑のチビがいた。
「おい、これはどういう事なんだ?」
「…」
 茶斑のチビは面倒くさいのか何だか俺を無視した。そして俺達はゆらゆらと揺られて見た事もない所で箱から出された。足に触るのは草や土じゃなく柔らかい何か…
 そこには俺達以外にもいろいろな奴等がいたが、なんでもそこは猫のシェルターらしい。大柄な白猫によると、ここからもっといい所に行けるらしいが、俺は兄弟と母ちゃんの所に戻る手はないかと考えようとしたが、奴は茶斑と仲良くなっている。

「この子ですが、懐きませんよ多分…」
「でもこの子です。」

「そして俺は姉貴の所に来た。」
「いい姉ちゃんの所に来てよかったじゃないか、お前がそう思うならな、しかしこの写真は何なんんだ?気持ち悪いな!」
 俺が姉貴の所に来て2日目に撮られた写真だ…実は俺は姉貴のデイパックに入れられかの女の部屋に来てなんだか気に入った。やたらと散らかった部屋もかの女も。
「これはマーク・アーモンドのマーク&ザ・マンバスの"TORMENT"という名曲12inchシングルよ。お前んちの姉弟は音楽の素養なんてないだろうから知らないだろうけどな。」
「でもネットには詳しいぜ。怖い話なら須磨子の独断場だ。」
 だからその怖い話が本当に解っているのか疑問なのがバッキーだ。