ストーカーのいろいろ・曖昧編 トル君1

 あとアレは私が17の頃だったと思うけど『爆裂都市(バーストシティ)』という映画を何故か私とmy非行仲間・レッコは観に行きそこでレッコは即座にパンクバンドを結成する事を決意した。セックス・ピストルズのデビューから4,5年経ってのその決意はだから『爆裂...』に出てたバンドでもスターリンよりロッカーズとかあの辺のヤンキー臭にレッコのアンテナが動いての事だったと思う。
 まずレッコはお兄さんがベースをかじってたんでベース、私はクラシックピアノ上等だしその頃は当時でいうイギリスのニューウェイブ系聴いてたから当然キーボード兼音楽監督になる事にした。そしてギターとドラムとヴォーカルは三ノ宮のスタジオに募集のはり紙を出した。
 そこで連絡して来たのがgr+voやれるというトル君。将来はデザート職人(当時はまだパティシエなんて言葉なかった)になるのが夢なので春から辻調に通う事が決まっているという彼は「でも魂はパンクです」みたいな事を言ってのけたけど、私もレッコも待ち合わせの三ノ宮西口の本屋の前で私たちを待ってる彼を一目みた時からガッツポーズ(ダサい奴ならブッチと決めて陰から観てたのだ)だった上、「あと今日は来れなかったけどツレでドラム叩けるヤツいますから」ってんでもうソコでバンドは結成されたも同然。
 なんせトル君は今で言うなら『窪塚がかなり地味で小柄になってパンクファッション着てみました』みたいな子だっし本人もノリノリだったんで即私は曲を書きレッコは近所だから郵便受けに放り込み、トル君にはちょいドキドキしつつ一人で連絡したら「Sさん(私な)は×駅ですよね...三ノ宮出るより俺んとこに近いし×駅あたりでイイ店ありませんか?」と来た。とはいえヤツの口調はあくまでもマジメだし私としても "いくらカワイくても年下はなぁ"って思ってたんでださださな喫茶店(ってその駅前にはださださな喫茶店しか当時はなかった)指定して自転車で行くと店の前で待ってたヤツは「カッコイイ自転車ですね」と言った。
 そしてその翌日、買い物行く為に駐輪場に赴いた私は自分の自転車のハンドルにTheModsのスカーフで結び付けられたメルヘンな絵柄の封筒を発見。
 封筒とおそろのメルヘン便せんには3mmくらいの小ささのエンピツ文字で私のスコアのコード進行にはこういう歌詞があうと思う、とラブレターめいた事が延々と書かれててソレは勿論トル君からの物だったんでもう私は有頂天!夜になってから(春休み当時ヤツは自宅近くの定食屋でバイトしてた)電話すると「今からそっち行ってイイですか?」。
 (この話続く)