夏目漱石『夢十話』/夢のリアリティ

 そもそも大文豪的な作家の作品は若いウチに読んで理解出来るのかが疑問…わたしが小学校の時ドストエフスキの『罪と罰』(勿論ジュブナイル版)を母は読ませましたが未だその意図が解りません(その後の付き合いで母が特に宗教的或いは思想的にどうこうというヒトではないと察するうちにも)。よって母の買い与える本=下らないというイメージが定着。その中に夏目漱石の『坊ちゃん』もありましたが天麩羅蕎麦が美味しそうだというイメージのみ。これもジュブナイル版ですからそんな物です。

 結果、わたしが漱石の『我輩は猫である』を読んだのは30代の頃でしたが、あまりの面白さに驚愕したものです!
 でもコレを子供が読めるかというとそうではないでしょう。まして名作とされている作品群は辛気臭い。それで比較的短編を読みましたが『坑夫』『坊ちゃん』後エッセイ仕立ての『硝子窓の外』。どれも面白い!
 
 そして『夢十話』。創作だとしても"ユメ"という物が上手く描かれていると思いますが、特に『第十夜』の途轍もない馬鹿々しさは正に"ユメ"。↓メインはこんな話。

 すごい美人について行ったら崖から飛び降りろと言われる。それを断ると…
「なら豚に舐められます」
(左画像はイメージです)この夢の主人公・庄太郎は豚に舐められるのが嫌で持参のステッキで豚を叩くと崖から落ちていく…しかしぞろぞろと豚がやって来る叩き続けると豚は崖からすんなりと落ちていくが、それが7日も続き、終に庄太郎は豚に舐められ瀕死の状態に…

 わたしは割とユメを見る方ですが、最近はよく外国で道に迷う展開が多いです。
 その外国というのが、外国のハズなのに嘗て勤務先であった大阪の、それも廃れた街並みであったり出口の解らない地下道や行き先の解らないバスや地下鉄で迷う。でも外国なのです。
 わたしの大好きなバルテュスの『街』という絵もそんな夢の作品?