仮病だ!/ハンス・ベルメール

 母が入院して1週間と1日。
 妹はやたらとラックなどを買い込み家の中を改造するのだけど、ハッキリ言ってそれはデッドスペースの量産とも言える‥昔はディスプレイ・デザインの仕事をしていたというのに‥どんな仕事をしていたのか知りたい位です。
 今、かの女が取り組んでいる改造は、やたらとモノを上へ、奥へと仕舞っていっているのですが、そんなの母には不便なばかりだし、わたしも腰が痛いので上にあるモノを取るのは苦痛。
 やっぱりかの女の腰痛だの何だのというのは仮病としか思えないところです。

 まぁそんな事はどうでもイイのですが、わたしが初めて…確か20の頃に購入したH.ベルメールの「踵と爪先」というリトグラフ(画像)の額が傷んでてほっとくとリトは兎も角、ガラスが落ちてきそうで危ない、よって壁から外して床置きにしているのがなんだか気の毒。
 もう一葉の「閨房哲学(M.deサドの同短編へのイラスト)」は小品でもあり無事ですが、あんまり見ないなぁ。「踵と‥」が初めて手に入れたベルメールだからと言うわけではなく大き目のリトで伸びやかで美しい。
 ベルメールは本職がグラフィック・デザイナーだったとの事ですが、そのデッサン力は驚異的というか、だからかれの造り出した「人形」も奇跡のような関節とプロポーションであったのでしょう。
 ちなみにサドではないけれどベルメールの写真集には恋人ウニカをモデルにバタイユの「眼球譚」へのオマージュ作品があるのですが"こりゃちょっと‥"みたいな感じかな。シモーヌはこうじゃない!とバタイユが怒りそう?
 その画商氏とはテキスタイルデザインの仕事をしていた時そこの社長に営業してて知り合ったのですが、わたしのベルメールに始まり父を紹介した事でよく儲けたんじゃないかな‥父のフェイヴァリットはB.ビュッフェ。
 親子でえらい趣味が違っていました。