猫と茫然としている白髪の紳士

 ウチの近所にはドコの子か解らない猫が少なくとも2人いて、1人は「アニキ」という雄、もう1人はグレイ×白の「ブサイク」という雌。その他、家の中にいる子は数知れない‥というのもウチの集合住宅でも2軒隣のマキノさんという女性は「里親」もしていて変動的に多数の猫がいるもよう。マキノさんが帰って来てドアを開けると大歓声が聞こえてくる。その他にもウチの山側の一軒家には何人かいる。たまに通りがかるとキレイな子がいたり。
 それはいいのですが‥っていうか家飼いされているお宅の猫はいいのですが、馬鹿なわたしが外に出す愛猫ジョルジュは前述のアニキとなんだか仲が良さそう。何を話しているかは知らないけれど、"フンゴォー""ギニャー"とか言いつつも一緒にいる。そこでブサイクがやって来ると大騒ぎ!喜んでいるのではなく嫌っているのだと思う。こいつはジョルジュを追っかけていて家の前まで来たり、ハッと気付くと家の中にいたりする不躾ものなのでわたしもあまり好きじゃない。愛想もない。顔は兎も角、可愛げがないというか?

 そんな猫関係のジョルジュが一人の時はぼっさーっと車の下にいたり(なら家にいればいいのに)いなかったり…いない時に呼ぶとたまに山側の家と隣の家の隙間からひょっこり顔をだす…どうでもいいけど「ジョルジュ〜ジョル〜」と呼んでいる時、一度、新聞配達の人に「歌の練習?」と言われた事がある。誰がパーキングで歌の練習しますか…「いや、猫、呼んでいるんです」と答えると「それ、名前?解るんかいな猫に!」「どうでしょうね」。は、兎も角、どうもそっち方面には公園があるので(ウチの前のグラウンドと違いブランコとかある類いの)そっちに行っているのかなーと探しに行くと、大概いない。で、公園からウチの山側の家々につづく小道があって、そちらへ。
 すると昨日、白髪の紳士というかヨロヨロしたお爺さん(でも背は高い)が小道を休み休み歩いている。追い抜くのも悪いのでゆっくり歩いていると振り返った紳士と目が会ったので「あの、もしかして猫ですか?」。わたしはこの人がアニキの飼い主かと思ったので(マキノさんの話ではアニキは山側の家のどっかの子との事だったので)そう言うと「猫…」と、小道の終わりの邸宅の庭にアニキがくつろいでいた。「おたくの猫ですか?」「違いますよ‥勝手に来るんです。首輪もないし野良かな?」「いや!キレイだし噂ではどっかの猫らしいですよ。」「あ、そう?あと白黒の猫も来るの。」「それ、ウチの猫です!すいません!首輪したらアレルギーあるみたいで」「ふーん…」‥と紳士とわたしに見守る中、アニキは微動だにしない。
 「あのー猫ちゃん見せて貰っていいですか!?」そこに華奢で可愛いお母さんが幼児を抱いて登場。
 紳士は茫然としている。