枯れ行くこころ

 少し前、久しぶりに『阿Q世伝』を読んでとてもびっくりしました。
 阿Qは10代終わり頃にはじめて読んだのですが、彼の境遇に同情するばかりでした。それは多分当時『狼』支援イベントに係っていたからかもしれません。そこから釜ヶ崎越冬闘争という活動に「炊き出し」で参加したりして "もっと何かないのかなぁ‥" とかいろいろ尋ねたところ「不運」としか思えない。教育のチャンスもろくに与えられていない人が多かったし(そうじゃない人もいたけど)向上心というものとの接点がないという感じでした。そこでわたしが感じたのは同情。これは不遜な事かも知れませんが、わたしとて境遇が違えばどんな立場だったかわからないわけですから!
 …そんな頃に読んだ阿Qはやはり不運な人物。愚かさというのは不運なのです。同情しかりでした。

 と、いった感じでした。30年前位に読んだ『阿Q世伝』の感覚は。しかし先週だか読んだところまったく感想が違っていて。同情なんて全く感じませんでした。その原因としては、今やわたし自身が51才、母77才で介護要支援の状態、その介護をする事で息が詰まってしまっているからだと思います。
 優しさとかが枯れ行く状態。9月末には妹が東京から帰ってくるらしいですが、そこでの人間関係も難しいかと‥現在、心の底から愛せるのは猫のジョルジュだけ。