昼顔/J.ケッセル

 ルイス・ブニュエル監督+カトリーヌ・ドヌーブ主演の映画の方が有名だと思うし、私も映画を先に観たクチです。
 あらすじ=『上流階級、若い医師の若妻セブリーヌは不感症っぽい。しかし何故か高級売春クラブに自ら身を投じそこに馴染んでいく。やばくね?』です。陳腐なハナシという感じがするかも知れませんが、この原作が出版されたのは1929年。かなり問題視された小説でしたが作者は「病いを知る事が健康に役立つんだよ」と応えて言ったそう。これはスゴい。ケッセルは日本で言えば昭和4年に「病いとしての売春」を認識していたという事なのですから!それは小説『昼顔』の主人公・セブリーヌが幼少の砌下層階級の男性から「何かを」されたという事が描かれている事からも解ります。売春の善し悪しは別として「しなくていい」人がする場合、それはその人の自己評価が低い結果という事が多々、そして幼少時に性的脅威に晒された人間は後年自己評価が低くなる傾向があるという近年の心理学フィールドの見解にも合致しています。実際ケッセルはジャーナリストタイプの書き手だったようでコレ以外はなんとなくイイ話が多いみたいです。