コッシャン・1

 出会いといえば私にとって一番重要なのはコッシャンとのソレだ。もし彼女に出会ってなかったら私の人生って絶対違った物になってたと思う。
 小学5年の終わり頃、隣の席だったスギヤマさんが東京に転校する事になり担任から「でも新しく転校して来る人いるし寂しくないよ?」と言われ私は苦笑い、つーかどうせバカが来るんだろうって。
 でも新しく転校して来た子はそれ迄に出会った事のないタイプ、何かすごく本当に始めて自然に話が出来る相手だった。実は当時私は勉強もソコソコ出来たけど自慢は父親がデザイナーである事+自分自身も絵が得意で結構賞とかも取ったりしてる事がプライドの拠り所だったんだけど、彼女は本物の天才で勉強も出来たし、何より絵が物凄く上手かったので私はすごくショックを受けハッキリ言って嫉妬と憎悪と殺意を感じたし、もし相手が彼女じゃなきゃ苛めてたかも知れないって事言った。しかしそこで私は初めて他人を尊敬したからハッキリ覚えているんだけど、普通ガキってケンカ売られたらキレるか泣くかだのにコッシャンは本当に下らなそうに「そんな事より××(担任)ってイキッて*1ると思わへん?貧乏人のくせにな。」みたいな事を言い、それが話を逸らすのが目的というより本当に心底「そんな事より敵視すべきは下らん大人や」って感じだったのに感服したのだ。
 コッシャンは天才の上、お父さんが外科病院の院長でお金持ちだったし、ウチも一般レベルよりはちょっと金持ちだったがその担任××から「デザイナーって水商売」って言われてかなり腹立った覚えがあるからもしかしてコッシャンもヤツにやっかみ混じりの嫌な事言われた事あるのかも知れない。しかし何にせよ担任を「貧乏人のくせに」って断罪する事を本当にクールで新機軸と小6で感じたあたり、コッシャンの前で私は"バカ"側の一員だっただろうなぁ。実際、小6の時『あなたが尊敬する人は?』ってアンケート(何が知りたい?)あった時、私が「悪魔とか書こか?」と言うとコッシャンは「そんなんアホみたいやしヒットラーのんでカッコいいよ。」と断言してたし。
 そんな『ゴーストワールド』系の私達だけど、将来の夢を小学校の藤棚の下のベンチで語りあうというカワイイ事もした。でもそこで立てた私達の計画は『デザイナーになって金持ちになってヨーロッパのお城で各々カッコイイ外人の男と結婚して子供産んで、でも可愛いのは赤ちゃんの時だけだから喋りそうになる前に捨てる』というシロモノだった(続く)。

*1:関西弁でカッコつけてるの意、最近言わないな