熱が出る程面白い/夏目漱石『坑夫』&夢十夜

 少し前から唐突に「我輩はジョルジュである」というのを書き始めてあまりの面白さに自分でハマッています(そりゃそうです‥わたしは『冷蔵庫ヘヴン』のNo.1読者、これすなわち面白がって書いているから何度でも読み返す)。
 勿論コレは夏目漱石の『我輩は猫である』をマイ愛猫ジョルジュが書いているという設定なのですが漱石(ってタメ口?)の『我輩』が全世界的に誰が読んでも面白いのに比べ、わたしのがそれ程面白くないのには理由があります。それは猫達の話題が概ね
 ●nadja5=芙美=姉貴=里佳子さん
の、事ばかりだからです。
 即ちわたしがわたしの事を書いている…それは何時もの事ですが、ここでは猫の客観的視点というギミックで上手い事言わせて喜んでいる…これでは他人が読んで面白い筈もないのではないでしょうか。

 それは兎も角、夏目漱石というと初めて読んだのが小学生向け『坊ちゃん』。面白かったけど、天麩羅蕎麦が美味しそうだという事くらい?
 もちっと大人になってから何かのハズミで文庫の『猫』を読んでなんと面白い小説かと驚き、で、文庫の『坊ちゃん』も読みましたがこれも面白くって天麩羅蕎麦より下宿で出て来るがんもどきやら、やはり「清(きよ)」の描かれ方に感銘を受けたり。
 そしてその後、薄かった(文庫の厚みが)ので読んだ『抗夫』には余りの面白さに笑いが止まりませんでした!
 その前に読んでいた『夢十夜』のシュールレアリスティクな面白さと似た「一体これは何?」という奇態で掴み所のなさと、こちらはスピードもあり次々と現れる怪人物やら面白い命名等。漱石が笑わせようとして書いているとしか思えません。なんでもこの主人公が斯様な体験談を漱石の所へ売りに来たとの説ですが、一般人にこんな小説は書けない。

 そんなんばっかじゃなくてもっと真面目なものも読めば…と思われるかも知れませんが、何が真面目で何が不真面目でしょう。
 っていうかただひたすら夏目漱石は「恐ろしく文章が上手い」というそれだけの事だと思います。