中原昌也/行方未知/ヌヴェル・ロマン

 TV等で「行方が解っていません」という言葉を耳にする度に(は、大袈裟?まぁたまに) "行方未知" という人名がふっと頭に浮かんだりするのですが、まぁ誰なのでしょうか?40年かそこら前にカドカワから文庫で出版された『イマージュ』というエロティックな小説の訳者。この『イマージュ』は『O嬢の物語』の勝手な続編みたいなシロモノで、作者はA.ロブ・グリエの嫁K.ロブ・グリエの作だとは解っている(発表名はジャン・なんちゃらという男性名)。内容はそれ程ねぇ‥ただ、訳者の名前が面白かったという。
 
 で、何で中原昌也が行方未知かというと‥ご本人は元気そうだし露出もたまにあるのですが‥なんだか彼の小説や音楽(ノイズ?)の構成というか終わり方が「行方未知」というに相応しい感じがするのですけれど、まぁ何というかヌヴェル・ロマンに「で?どうなったの?」とか拘るのは意味がないワケですが‥そう、ディテールが面白ければいい事で。
 以前、故・中島らも氏のエッセイで「『鬼火』を観に行った時、一緒にいた奴が"で、だれが悪者なんや?"と声をひそめて尋ねてきた事があったのだが‥」というのがあって笑ったけど、まぁそういう事?故・パパンと『去年マリエンバードで』を家のβVideoで観た時は「この女の人の衣装はディオールやで、確か」とか「このゲームは勝ち方があるねん」等々、まぁいっそプラクティカルな情報を(前に劇場で観ていたからではある)頂戴したので面白かったけど。

 そこで中原昌也の小説の奇妙で面白い所は、やはりそのディテールであって「だから何なんだ」というという読み方をしては無駄になってしまうんじゃないかと。ミスティフィケーションではない、ただ物語が進行していくのみ。文章力はすごくある人で、以前何かの雑誌で映画評(これがまたB級なのだけど)が掲載されていたのは爆笑モノだった。
 あと、彼の音楽というのは‥サンプリングを主にしたノイズなのだけれど、初めて聴いたのはコーネリアス(小山田の)で、だった。暴力温泉芸者の頃。

 まぁこんな感じというか、これより面白いのはこっちかな? 1:47〜の展開が、まるで彼の小説のよう。