ストーカーのいろいろ・加害(?)編

 20代半ばの頃、私は今の事務所に程近いメーカーに勤めてたのだけどソコは9時始業なんで通勤は正に"ラッシュ真只中!!"だった。ソレが嫌でちょっとずつ通勤時間をずらしていく内、ある時間の各停に乗り西宮で特急に乗り換えると物凄くカッコイイ人と一緒になる事に気付いた。そのダイヤは"下手すると遅刻ギリギリ系"だったけど私はもうそのダイヤ以外で通勤する事なんて考えられなくなった位にカッコイイというかキレイな人だったのだ。そして彼を眺めるだけでは我慢出来なくなった私はクリスマス時期だしプレゼントを渡す事にした。
 当時まだ嵯峨美の学生だった妹も使っての周到な計画はこう=私と彼の乗った特急が梅田に着く時間に妹にスタンバっとかせ私は彼にプレゼントを手渡し逃げる→その後妹に彼を尾けさせもしプレゼントが破棄されたら回収&とにかく彼の勤務先を突き止めさせる、というしろもの。
 プレゼントはペット・ショップ・ボーイズの"Introspective"というアルバムのカセット(その頃もうCDあったかも知れないけどでも未だメインはビニールかカセット)だった、それに携帯なんて無かったから自宅の電話番号と勤務先の名刺をソコに同封、ってアブナイ事をやってのけた、ごく普通に。メッセージは多分「私のお気に入りです(=PetShopBoys)」とかそんな感じだったと思う。そして出勤した私に少しして「ちゃんと鞄に仕舞ってたよ」という連絡が入り「勤務先は?」と尋ねると「途中で見失った」って見失うか、あんな男前!きっと途中で放棄しただろうと推測、そして実際そうだったって判明したのも彼から「驚いたけどそのウチお礼する」みたいな電話がウチにかかってき、週末、今度は勤め先に電話があってその夜私達は梅田で会う事になったからだ。
 とりあえず居酒屋に行きソコでまず乾杯した後、彼は「ほんとビックリしたけど嬉しかったな、アリガト」とサリゲにキレイなラッピングされたボックスを私にくれ、開けると"Faburous"ってブランドのブレスレットで感激した!
  ...しかし残念ながら私の幸せはソコがクライマックスだった。
 とにかく話があわない。まず「カセットどうでしたか?」って尋ねると「少しずつ聴いてる」って、ソリャ聴いてないやろ!あと彼は名刺をくれてたんで仕事の話になるとかなり微妙に接点ありイキナリ説教されたり等々オレ話の嵐!(この名刺で彼の勤務先が梅田駅からミスド経由した場所にあると判明し、妹の半端なゴトと行き先察知)。とりあえず終電あるし帰ろうって事になり一緒に西宮まで帰った段階で、しかし彼は「イイ店知ってるしもう少し飲もう」と言う。いかに話が合わなかろうとそれでも憧れの彼(ましてHMという名前まで判明したし)その仰せに喜々と私は従ったけど、その辺から「絶対ダメ」って感じは加速度的に私の「うれしい!楽しい!大好き!」的無理やりなテンションを削ぎまくりだった。その西宮のバーはイイ感じだったし「今日はもう帰らなくていいよね」とバーを出て近くのラブホに向かう途中水溜りがあるとお姫様ダッコされたり(ありゃ生まれて初めてだし多分最後)めっちゃ『ディテール』はイイんだけど当事者の私はひんやりした気分でいた...でも!私は彼、HM氏をその後も追ッ掛け続けた、ってのも彼がソコで逃げたからなんでもし逃げなかったら追ッ掛けなかったと思う。
 彼の誕生日に百合の花束を勤務先に送ったりFAXでラブレターをこれも勤務先に送ったり、あと独特な苗字なんで自宅簡単に判明したからソコの郵便受けに直接手紙差し込んだり...と、私はマジ "トル君"より執念深い感じだったけど、しかしココでもまた同じ関係性というかそのHM氏はおキレイな分私よりナルシストらしくたまに解ってて同じ特急に現れては「ごめんね、なかなか連絡出来なくて」とか男前な発言したり、それが夜だとまた酒飲みに行っては同じようなくりかえし...で、ストーカーとしてはストーキングし甲斐ないわ、そもそも話も合わなきゃ会っててさして楽しくないし、で私はもうどうでもよくなってこっちから通勤ダイヤ変えた。
 そして2年位してマイ勤務先が神戸・ギフトショーに出展となった時、施工がHM氏の勤務先で「まさか」って思ってたら本当に営業担当で彼が現れた時はこっちがウンザリ*1!だってヤツ営業スマイル満開で「やぁ、久し振り!」って言うてのけ、私は同僚や上司から「どういう知り合い?」って聞かれるし困った。
 
 ストーカーがジャンケンのグーならナルシストはパーなんだろう...そしてチョキは誰かというとストーカーを横で見守っているしかない、ストーカーの心優しい恋人なのだ。そんなヤツいるかって?いるんだよ。

*1:韓流ドラマみたくベタな展開だった