S.キング『例のあの感覚、フランス語でしか表せないあの感覚』/コンスタンティン

 キング御大の短編集『Everithing's eventual』を日本では『第四診察室』『幸運の25セント硬貨』の2冊にしてあり、どっちも勿論面白いのですが、この『That feeling,You can say what it is in French』は『25セント硬貨』に収録されている短い一編。でももうこの短さでも充分に怖いというよりイヤな話…昔、村上春樹がキングの小説の魅力をして「そのアンイージー(uneasy)な気分にさせられるところ」と評していましたがアンイージーって言われても。まぁ「不安定な」とか「微妙に困ったカンジ」とは書かないあたりが春樹クオリティ。わたしレベルでは「イヤな話」が精一杯。
 タイトルの意味する所は「デジャ・ヴ(Deja vu)」、このデジャ・ヴが只の既視感ではないのが読んでいくうちに解ってくるのです。
 この短編集にはそれぞれキング御大の「ひとくち解説」がついているのですがアッという間にネタばらしというか(笑)‥でもキリスト教(多分ここではカソリック)などと縁がナイ人には親切カモ。ただ他所のレヴュとか読むと「こういう夢は本当に怖い」とか書いている人がいたりする…うん、それも確かにそうなんだけどキングの解説読んでそれならちょっとどうなのよとも‥ 

 まぁ地獄、という事なのですが。御大『ゴールデンボーイ』の終盤、服毒自殺する誰かさんも"あっちゃー"って思ってたり。
 しかし実の所、宗教観というかそういうものと無縁のわたしとしてはあんまり地獄という概念にリアリティがないのですが、この『例のあの感覚…』にも「地獄の時計の一目盛は100万年」という言葉が出てきてその100万年にすらリアリティがない!

 そこで映画『コンスタンティン』なのですがここで主演のキアヌ・リーブス演じるコンスタンティンが地獄に行ったり来たり。わたしが書くとお金のハナシみたいですがそうではなく、死んだ後に行く地獄の事。
 ここでもやはり「地獄の時計の一目盛は‥」が出て来、なんだかいろいろ大騒動(?)それも一般人には解らん所で、という天国も地獄もよく理解出来ないわたしとしては怖いより「キアヌっていらんトコでオーバーアクション…」といういつもの印象でしたが、でも面白かったです。
 特に地獄の王サタンが出て来る部分がこの映画の見どころかとも。コンスタンティンみたいな条件でも天国に行けるのか…というその選別の解釈が「えぇ!?」だったし肺癌治してくれるし。その上、親子のイザコザレベルで人類を救う(とりあえず?)し。ヘンなサタンだよ‥
 サタン演じるはピーター・ストーメア。白いスーツでキメての怪演はよかったです。この人初めて見たのは『ファーゴ』の何考えてるか解らんコワイ役でしたが他でもちょこちょこ…ただパッとみて「あ、ストーメア」とは気付けない。顔がちょっと痩せたりするとわからないのかな?