グールドさんとの日々.2

 極真に入門したわたしは先ず始めの稽古で「入門の動機は」と皆さんの前で尋ねられ「空手バカ一代を読んでからいつか入門したいと思っていました」と述べた所"おぉ〜!"とのドヨメキと拍手。ちょっとビックリしました。皆様、大山倍達の信者…みたいな?
 それは兎も角、当時はトラ呼ばわりだったグールドさんですが、それはグレイさんがいたから。彼女は本当に知的だったしわたしによく懐いていました。
 はっきり言ってグレイさんの方が格は上な感じでしたが、それがある時、彼女達が同時期に懐妊したのです。
 その時、グレイさんはボラのメンバーの獣医師さんに堕胎と避妊手術を受けました。実はグレイさんの子ならわたしが飼ってもいいと思っていただけにショックでしたが、神社に戻って来たグレイさんに「残念だったね」と話しかけると彼女も残念だったようであの時のグレイさんの顔は忘れられません。お腹に温めていた仔を喪いかつもうそのチャンスは失くしたという痛切な悲しみ。
 で、トラの方はどこかに隠れて5匹子供を産み、乳離れした頃に子供を連れて神社に現れました。これにはボラもビックリでしたが子猫達はすぐにボラに引き取られたのですが、その頃からグレイさんは神社から遠ざかるようになりました。