父の黒歴史/『萬流コピー塾』

 バブル、その少し前から糸井重里氏は面白い存在でした。そのコピーライターとしての仕事も見事でしたが『ビックリハウス』でいろいろな言葉を「ハツメイ」したり、スターリン(というバンド)の遠藤ミチロウと資本主義の病みを語ったり(これは宝島カセットブック『ベトナム伝説』のブックレットに収録)‥あと、確か矢沢エーチャンの『なりあがり』も糸井氏の仕事だったような?中でもわたしが一番面白いと思ったのは『わたしは嘘が嫌いだ!』という‥どう説明していいか解らないのですが「よくもまぁこんな面白いハナシを」な短編集とでも?
 そんな感じ、専門学校の頃、糸井氏「やるなぁ」と思っていました。
 その彼が週刊文春に連載していた『萬流コピー塾』これは毎週「お題」を出し、そのお題へのコピーを一般読者から募るという企画。'80年代前半、わたしはテキスタイルの仕事に就きそれがとても楽しかったのに加え、バンドをやっているBFがいたりしてもう全然興味がなくなって。まず週刊文春なんて読みませんよ‥
 数年後『(ぶんこ版)糸井重里の萬流コピー塾』という、まさに文庫が我が家に出現。父も妹もこういうの好きなのでまぁ不自然ではないのですが。読むとメチャクチャ面白いのです!ちゃんとコピーにしようと思ってらっしゃる方々なのかウケ狙いなのかよく解らないのですが、そういう投稿を選出してコメントする糸井氏によって面白さが倍増。
 面白いなーと思って読んでいると文庫最後のお題「マッチ」でひときわ意味不明な投稿して「毒」を頂戴しているの、名前が本名とは漢字が違うけどうちの父!「我々は鍋物界のマッチです(えのきだけ)」‥糸井氏は「えのきだけがテーマじゃないんだけどナ」とコメント下さってますが、没案件では?
 ちなみにこの件に関して父と話したことはありません。でも未だ文庫がわたしの手元にあるというという事は亡き父の財産(笑)かとも‥