なんとも貧しいゴールド・ドリーム/SimpleMinds


わたしの20代はまさしくバブルのさなか‥物凄く大もうけしたとかはありませんが、なかなかいい時代でした。
 でも、わたしが一番楽しかったのは、そうしたバブル経済と接することなく素朴で貧しぎみな10代の後半だったように思います。それというのも恋人が今で言うフリーターでわたしも学生で、ちょっとしたことも嬉しかったからです。
 なんとなくずっと一緒にいたかったので、かれが暮らす堺(東大阪)から神戸までいつも車で送ってくれ、そのドライブがとても楽しかった!
 わたしは車を運転しないから、車を運転しているかれを見ているのもいい感じだったし、国道沿いの工場の影を見送るのも当時としてはロマンチックだった。
 
 終日火を燃やしている工場 夜明け前の空気を脅かす、黒い建物の中の炎は
 ねむりを、そうした景色を知らない人々の眠りを観察する鉄の構築物 その冷たい沈黙
 空気の青さは 海王星のように青く
 誰の吐息をもいつかは オールトの雲まで連れ去っていく勢いだ‥
 小さな歯の猫を抱きしめた重みも失われ