21.隠してやった

 「それでな、その先輩は数日後に自殺したって話だ…」
 「それはやっぱり呪いかい?」
 「おうよ!お前も解って来たな、白黒!」
 相変わらず須磨子姉から聞かされるらしき"怪談"を俺に話してくるバッキーときてはもう少し別な趣味を持てばいいようにも思うが、こっちも返事が上手くなった所だ。ヤツの話に物理的、或いは科学的な返答は無駄。ただ「呪いか」と反応し怖がっていれば済む。

 「ところで、お前んちのギャルはどんな調子なんだ?」
 「俺は女子供に興味ないからな…」 
 「ハハハ、確かにお前んちの姉貴は禿だし悪質な"ねらー"だからな!女子供に興味があったら一緒に暮らせねえわな!それよりチビッ仔はどうなんだ」
 「さあな。」
 バッキーはその住処にいる須磨子というOL勤めの姉分を随分と崇拝してい、かの女(見た事があるが凡庸な女性だ)の語って聞かせる"怖い話"を俺に聞かせてはご満悦、そして弟分の啓介がネットでどうやらパッとしないどころか俺の姉貴にしてやられてもいそうな事に拘りがある。
 それにも増して、以前俺に自慢した女友達から嫌われた事でウチのロルに関心を持って居る様子だが、それだけはお断り。だいたいかの女は俺の事が好きで仕方ないのだからこんなボンクラを相手にはしないだろう。