「父の娘」とその母親や妹/桐野夏生『グロテスク』

 先日言及した「父の娘」で特に引用されていたのがあの「東電OL殺人事件」渡邊泰子と「私にはその価値がある」の木島佳苗だったのですが、そのどちらもがやはり「長女」なのですよね。 どうして長女なのか‥というと「父」にとって「長女」は愛情のみならず期待も大きいからではないでしょうか?
 さてそんな「父」と「父の娘」と接する母親や妹といった存在はその両者を嫌うのでは‥当時どんな気分でいたかは解りませんが、バブル当時海外に撮影出張が多かった父はわたしに「ゴルティエの新作」ワンピースを買って来たりしましたが、母にはシャネルのスカーフとかそんな陳腐なの‥妹の事は覚えていない‥ゴルティエの新作という意味も解らない母をバカにしていましたね。いやな娘です。
 そんな父が去年逝ってから‥というよりその介護を妹がしたという事で親族内ではヒーロー扱い。父は兎も角、なぜか態度の大きいその長女は微妙に親族から嫌われていたのです。そんなわけで父の死後わたしはゴミ扱いされるようになりました。ただ父の妹達=血縁の叔母達は父の事を崇拝していましたからわたしに同情的。でもそれが辛かったりもするのですが。
 そんなヒーローの妹ですが、当然母も英雄扱い。父が亡き後、わたしの立場とは‥ナッシングでもまぁ好きなようにしてくれという感じかな?思う存分嫌ってくれていいです。好きになりようがないですよね。

 「父の娘」関連で読んだのが『グロテスク』桐野夏生氏による「東電OL事件」の小説化みたいなものですが、これほど愛のない嫉妬と憎悪の世界は凄いと思いました。でも、これが真実だったりもするのでわたしとしてはやはり悪意のヒトなのでしょうか‥?