金色の乗用車、或いは毒殺

翡翠いろに染められた 悪趣味な羊毛の上着を纏って
安っぽい金色のビュイックに乗り
わたしは毒殺される女系一族が閉じ込められた家を訪ねる

それは魔術のよう
避けることの出来ない運命
聖痕のよう 口元から垂れる黒い血
坂のうえのアパートメントからきこえる
調子外れなソプラノ

もう、なにも思い出せないのだ‥

世界は正気を失っている
溶けた脂肪のよう 澱んで