生焼波止場・2

スーパーマーケット、晩秋


それも夕暮れ時、晩秋の
住宅街からはじまる公設市場
そのアーケードの終わる駅前に近い
スーパーマーケットで私は出会う
やけに にこやかな 華僑の卵屋に

かれは 私の自転車が目当てなのだ

それは純然たる好奇心の賜物
私の
影のよう、黒く痛々しい自転車に乗ることさえ出来れば
波止場(あの独特な臭いのする)に
あそこにへばり付いてある 幻燈のような店々へ
辿り着けると思っているのだ‥

冬には失われてしまう 
波止場に