夏の思い出

とりあえず夏の思い出ということで.....

忠誠こそ我が栄誉


夜に出港する船でここを離れる
きっとどこにも行き着かない
白いモスリンで両手を
緩く縛って思い遣る不在

もう終わってしまった
遠い昔、生まれるその前に
すでに終わってしまった誰かの夢を
耳すましてみる
船の腹の中の空洞 丸いガラス越しの夜

辿りつくのは溶けつつある氷の街、あるいは
凍てつく金星の砕け散る夏の早朝

そして燃え上がる海の上の橋!
触れること無しに
コールタールの湿気のなか
昇る龍を 赤い陽光の陰に確かめる

何度でも錯覚してみたいという
自堕落な魂が覗き込むのは まさに
毒々しい永遠
果てしなく深い透明な光彩

その中で"理由"は死に絶え
音楽は、終わる