ミディアン

 クライブ・バーカーのエッセンスみたいな作品。彼は基本的に「愛」や「性善説」を信じているんだと思う、だから地獄を描き続けながら、しかし、なんとなく病的じゃないんだろうとも。リアル世界で病的な殺人とかする人と違いバーカーの世界に出てくるクリーチャー達は独自ではあれ健全な世界のルールに従って生きているし人間を引き込むにもちゃんとしたルールがあった。それが『ヘルレイザー4』辺から自ら地獄を観ようという意志もないパンピーを引きずり込むようになって単なるショック系に成り下がってしまった事が残念。で、コレ『ミディアン』は寧ろホラーというより異人種文化間の抗争、そして抑圧の話です。本物の悪がD.クローネンバーグ演じる心理学者=実はサイコキラー、あとミディアンに暮らすクリーチャー達を「許せない!」と出て来る牧師さんというのでその図式はバッチ。矢張りコワイのは人間、という事ですね‥帝国主義を糾弾せよ!デス。