Gマスター

 ところで私は結婚した事ナイけど結構料理の心得はアル。だから食べ物の仕事したいと思い近所の定食屋の募集に応募したのは'00年の春だった。そして即!採用された上にマスターからかなり秘伝の料理法を伝授されるという僥倖に浴したのだけどそのキッカケは採用されて少しして作った「お弁当」だった。その店は山口組の本家と店舗近くにある宿舎の若衆という特殊な顧客に支えられていて月イチの『集会』みたいなのがある日はかなり忙しいしソレは前もって解ってるらしくその日、定食やラーメン合わせて12食程出前に行く前にマスターが私に「何か弁当作ってくれ」と言ったのだ。テストかな?とも思ったけどとりあえず丁度味噌汁が切れていたので新しく作り、あと出し巻きとオムスビ、そしてスパゲッティがあったので玉葱とピーマンを一緒にケチャップで炒め給食風のナポリタンを作っておいた。ソレははっきり言ってココの顧客たるヤクザさん達のかなり幼稚なテイストにこういうの合うんじゃないかというプレゼンでもあったんだけど、出前から帰って来たマスターはまず塩昆布入りのオムスビを食べて味噌汁をすすり「うま〜!」...ヘンクツっぽいマスターだし当然私に向かっての賞賛って感じじゃなかったから私としても "あーお腹空いてたのか" 位にしか思わなかったしナポリタンに至っては「スパゲッティなんかドコにあったん?まぁ後で食べるわ。」って食べたくナイのかなって感じだったけど、次の日から『味噌汁』と『定食につける一品』は私が作る事になった。
 その『一品』はナポリタン・ポテトサラダ・マカロニサラダ・スパゲッティサラダといったやはりお子ちゃま好みなシリーズからスタートしたが、私が自転車で商店街のゲリラ的八百屋*1で野菜も仕入れるように*2なってからはホウレン草の胡麻あえやきんぴらごぼうといったもっと「オカズ」になる物も加わっていった。そして、ソレと同時にマスターは本格的な中華料理*3やオリジナルな洋食メニューを私に伝授してくれるようになるのだけど、さて、そんなマスターが私という一種の思い付きでやって来たような人間にソコまで真剣に対処してくれたのには理由があったのだ。(続く)

*1:多分青果市場で規格外で捨て値にて一定の業者にまわされるんだろう激安な物を扱う店舗がある

*2:マスターはバイク乗りなので商店街の中を探索出来ないのだ

*3:彼は京都のスエヒロのチーフ職から独立した人なのだ