感覚の劣化?/『DARK LOVE』

 20年前に読んだアンソロジーを失くしてしまって久しい。初めて読んだ時は「面白いなぁ!」と思ったしまた読みたいと思い検索すると古本が\1(!)であったので購入(右画像)(送料がかかるけどそれも安かった)。
 日本版のタイトル『ゴーサム・カフェで昼食を-22の異常な愛の物語』原題"DARK LOVE"なのですが、当事はモダンホラーといえばキング、S.キングだったからかも知れませんが、タイトルに持ってくる程の話でもないというか"22 original tales"とあり、確かに当事ではあまり知られていない作家の短編がまとめてあるのですけど結構微妙?その頃から有名だったラムジー・キャンベルの短編も…微妙。
 総じて面白くない事はありません、ただ20年前、わたしが30代の頃とは感性が変わっているのかも知れませんが「異常な愛」は如何なものかと。「変わった話」とした方がいいのでは?あと一貫性に欠ける。実はこのわたしの日記のタイトルも収録作から頂戴したのですが(ちょいかえてはある)タイトルは面白いものの何度も読みたい話ではない…と、文句ばっかみたいですが'96初版で\860というのは今では信じられない価格。当時"扶桑社ミステリは高いな"と思っていましたが今となっては…つかこの本は再版されていない?扶桑社ミステリはどうなった?

 他にアンソロジーはよく読んでいたのですが、女性が編集した『レベッカ・ポールソンのお告げ』という(ちなこの表題作もS.キングの長編からのスピンオフ)のはコレも"13の恐怖とエロスの物語"とあるものの、こちらは秀作揃い。だのにああ、まるでゴミのよう(左画像)…ですが、こちらは女性視点、というか女性がどうおかしくなるかが上手く描かれた短編揃いなので失くしもせずしかしボロボロに。(同時期『筋肉男のハロウィン』というアンソロジーも姉妹編、もとい姉弟編として文芸春秋から出ているのですがそっちはそんなに…)
 この『レベッカ...』のラストにはクライヴ・バーカー「ジャクリーン・エスー彼女の意志と遺言」が収録されているのですが、これがまた名作。元々『血の本』に収録されていた話ですが兎に角名作です。
 クライヴ・バーカーといえばその『血の本』(実に奇抜な短編集・5巻)でS.キングから絶賛され映画化された『魔道士』(HELL RAISER)『死都伝説』(MIDIAN)でのキャラクターデザインにて一世を風靡したものです。絵も凄く上手い。その上ハンサム。ただ、その世界観からして"..この人ゲイやろな"とは思っていましたがやはりカムアウトされました。
 
 話が逸れましたが今回改めて読んだアンソロジーで昔ほど面白く感じなかったのはトシをとって肉体的に劣化している今、感覚的にも変わっているんだなぁという事。ちな夏目漱石はこのように…
 女らしい所がなくなって仕舞ったのに、まだ女として此世の中に生存するのは、真に恐ろしい生存である_(『明暗』)