スティーヴンキングの痛い恐怖/ミザリー

 昨日『ペットセメタリー』の事を書いて読みたいと思ったらコッチが出てきました『ミザリー』。これも映画化されていてニコ2で観る事が出来ます。ただ、この映画版は原作とはかなり違うのですがイイ出来かとも‥ただアニーを演じたキャシー・ベイツが原作イメージより美人‥でもアカデミー主演女優賞をとったのはこれが彼女だったからでしょう。あと、映画は原作より怖くないのですが、あの原作をまんま映画化は困難かと。↓コレ、ニコ2リンクです。

 それはともかく原作は怖いというより痛いです。ただ『ペットセメタリー』の蘇りが有名なよう『ミザリー』では監禁された作家ポールが1番のファン(‥)たるアニーから受ける拷問が有名ですが、原作を読んでいて「イタイ」のはそうした肉体的虐待よりも彼が寧ろ精神的に弱っていくところ。
 ポール・シェルダンは「ミザリー」という割とハーレクインロマンスみたいなシリーズ小説でヒットした。でもそんなのじゃない物が書きたい!→書いた!という所で酔っ払い運転で雪山道で車ごと転倒‥それを見つけたのがアニー・ウィルクスという女性で彼を救出して自宅に。でもそれはアニーが「ミザリー」シリーズの大ファンでその転倒した車の中にいたのがその作者だと知っていたからです。で、まぁ助けてくれたのはイイけどそこに持っていた「ミザリー」じゃない小説原稿に激怒してポールに焼かせる。その上、その新作の前に「ミザリー」を小説内で殺していたので‥それが出版されたのと事故が同じ頃‥それに憤慨したアニーがミザリーが生き返る話を書け!とわざわざタイプライター(中古でNnのキーがない)と用紙を買ってくる。
 この段階で作家ポールはなんすかこれ?なのですが車の転倒で足が複雑骨折してい、その治療はアニーに頼らざるを得ないは中毒性のある鎮痛剤に依存していたので適当に書いた。するとアニーが怒るんです。この『ミザリー』を読んでいる読者にはそもそも「ミザリー・シリーズ」の話なんて解らないのですがこのアニー宅で書いた「ミザリーの生還」は劇中劇ならぬ作中作で読めます。で、そのはじめに書いた話を読んでもわたしなどは "ふーんそんな話か" と思ったのですが、アニーに怒られて書き直しはじめた「ミザリーの生還」は全く別物でした。面白いかどうかは別にしても大変な話に!で、その段階でポール自身もそこに熱中して行くのですが、心中「俺はシェヘラザードだ生かされる為に話を書いている」みたいな思いもある。そして虐待もあり「死んだ方がマシ」と考えるようになっていくのですが、そこがこの小説で一番怖い所とわたしは思いました。絶望ほど恐ろしいものはありませんから。そう、彼は絶望しかかったのです。でも…
 ちなキングはここまでの目には会っていませんがあのマーク・チャプマンから「最高のファンです!サインを下さい」と言われてサインした事があるんですよね。そう、ジョン・レノンのファンだと近づいてレノンを殺したマーク・チャプマンです。