大衆的娯楽の衰退…と趣味.3

 話が逸れに逸れていますが、わたしが言いたいのは映画館の衰退です。いや、新しいロードショウ館は出来たりしていますが嘗て存在したフリーダムなロードショウ落ち2本立て(ポルノなら3本立てもあった)館が速やかに消滅した事。都市部には未だ存続しているかもですが…ちなみに大阪で仕事をしていた頃、ヒマな時に新世界〜飛田を自転車で散策したものですが、そこらにはありました。
 察するにバブル地価変動で"大して儲からない映画館などやってられっか"となった?『ミナミの帝王』でもそういうエピソードがありましたが(佐藤蛾次郎がポルノ映画館主で地主から追い立てをくらう)。

 あと家庭用ヴィデオの登場もあると思います。
 先ずソニーがβを発売。今ソニーがどういう立ち位置かは知りませんが当時としては「ソニーなら!」と結構飛びついた人は多かったと思われ..ウチ故・父もそのクチでしたがテープも高価ならソフトも高価でしたし面倒臭がりの父が利用していた記憶はあまりありません。リモコン操作も面倒でわたしを呼ぶ始末。そのクセ新しいもの好きで事務所にいち早くアップルを導入(A5サイズくらいあるフロッピーの時代)するも自分では使わないという..曰く「機械の操作は下っ端がやる事」(壮大な言い訳)..まぁアップルの話になると延々たる愚痴になりがちなのでそこは止めておきます。

 それより映画館衰退の話です。
 家庭用ヴィデオ登場に続きWOWOWの登場も大きかったでしょう。有料チャンネル=デコーダ(アンテナも?)必要とはいえ当初珍しいコンテンツも多くソレを録画しちゃえばヴィデオレンタルなんて..それでもそれが面倒なヒトもいたからか(わたし)逆にTSUTAYAが流行ったようにも..CDの話は別として。
 しかし!その後ケーブルテレビ=CATV多チャンネル時代が到来しWOWOWも最近ではWOWOWシネフィルというフリーチャンネルを!フリーと言ってもCATVでの話ですが..
 こうなった今、映画館のレゾンデトールとは=新作をいち早く観る、でしょうか?
 以前書いたかもですが、腰の重いわたしがHAT神戸という地域にある映画館に行くと禁煙はまぁ当然としても飲食禁止との事で「飲食は弊館カフェでお願いします」。その映画の名誉の為、観に行った映画のタイトルは書きませんが「あ、エドワード・ノートン、老けたな」と思った次の瞬間にはエンド・クレディット。ウチで休み休み観るクセがついてしまったせい及び経年劣化による集中力低下もあるでしょうが..ぐっすり。

 それは兎も角、わたしが映画館で一番回数多く観た映画は(勿論ロードショウではない)..
 『去年マリエンバートで』
 カタログ(右上画像)を今でも大切に持っているのは天沢退二郎氏(詩人かつ仏文翻訳家・『光車よ回れ』という名作ジュブナイルも書いている)による解説が秀逸なので。故・父がβ購入したクリスマスだかにコレのソフトを買って貰ったけどもうない..と、思う..
 この映画も有名(と思う)な割に毀誉褒貶があるというか原案者/ロブ・グリエというのでちょっと..という部分もあるかも?ただ、こんなに美しい映画はちょっとないと個人的には思うところです。主演"A"の衣装はシャネル。1961のシャネルですから見事。
 若しかしたら初めて大阪北浜三越に専門学校時の友人と観に行ったあとその友人が「あの"女"さぁ、パッと見アンタと似てるよね」と言った事もあるかもですが(似てない)主演というか…"女"のデルフィーヌ・セイリグはコメディエンヌでフェミニストらしい。むか〜し何かの映画(多分WOWOW)で観た事あるけど失念。