創作

お嬢様

我輩はジョルジュである29 もうすぐ我輩は12年目の誕生日だという事だが人間にしてみたらもう随分な老年らしい。 しかし人間も長生きするようになっておるらしいし、我輩が連れて行かれる病院ではまだまだ長生きする同胞もいるとの事だ。我輩がどんな年月を…

お前の字は読めん

画像はわたしが22(23?)の頃に某文芸誌の新人賞に応募し1次は通ったけど2次で落ちた小説の下書きノートからのものです。 2次落ちという口惜しさもあり放置していたのを(でも捨てない!)何となく開いたところ…読めん!…字が汚く小さいし漢字がヘン。そりゃ「お…

21.隠してやった

「それでな、その先輩は数日後に自殺したって話だ…」 「それはやっぱり呪いかい?」 「おうよ!お前も解って来たな、白黒!」 相変わらず須磨子姉から聞かされるらしき"怪談"を俺に話してくるバッキーときてはもう少し別な趣味を持てばいいようにも思うが、…

20.馬鹿はお前だ!

姉貴は『猫ヘルパー』という番組をよく観ている。刺青をした禿の男が"問題のある猫をなんとかする"という番組なんだが、大概「ハハハ〜この飼い主バッカじゃねぇ?」と姉貴は笑うが観るべき所はそこじゃないだろうが!それにあれが馬鹿なら姉貴の方が馬鹿だ…

19.俺は腹が立って来た

【番外編】GOING DOWN TO JUPITER は、ジュノーが木星の軌道に入ったので当面おやすみです 姉貴の無計画さはいつもの事だが、俺に相談もせずチビッ仔をどこからか連れて来た… 仲良くしてやるに吝ではないが、ヤツは一部屋占領している。面白そうな檻まで。俺…

【番外編】GO DOWN TO JUPITER

俺達の宇宙船『Bete Noir(黒い獣という意味らしい)』はエウロパから木星に出発するところだ。操縦者は俺、猫のジョルジュで補助してくれるのは猫のロル。 「じゃ、船長、行きますぜ!」 船長たるnadja5は人間だが個人用コンピュータで映画を観たり、なんだか…

18.なんだと!

「なんだお前、やる気か!?」 ゆったりと現れたマルにバッキーは怒鳴った。こいつは油断ならねえ。 「まぁ待てって。あのジョルジュんとこに妹分が来るらしいぜ?」 いんてり屋の禿とジョルジュんちのヅラ姉貴が喋っているのをマルはきいていたのだ…未だ乳…

17.見舞い

「お前も馬鹿だな!いちいちマルの野郎の言う事なんて間に受けるなや!アイツは自分が嫌われ者だからって僻み根性でイヤな事ばっか言いやがる」 まぁ、毎夜々須磨子ことヤツの姉貴に怪談を聞かされながら一緒に眠り、幸せな暮らしをしているバッキーにしてみ…

16.救急車

時間なんて俺には関係ない。取り敢えず腹が減ってるかトイレがしたいか。後は姉貴が起きているか寝て居るか。 トイレに関しては俺がここに来た時からあるリターボックスで済ませていたが、近所の奴等と面識が出来てからは外だ。俺の領地を知らせなくてはいけ…

悪人は誰

ライザの話であまりにも腹が立った俺はバッキーに噂の真偽を尋ねてみた。本当ならマルの方がこういう話には詳しいと思われるが、ヤツにかかると何もかもが喧嘩の対象だ。そういやライザにボディガードを申し出たという話を忘れていた。今度会ったらからかっ…

14.悪評

うっかりする事なんて誰にもある事だろう。俺は村井の庭からの帰り、自称"芸術家"の婆に布団叩き(というらしい代物)で殴られそうになり慌ててパーキングに飛び降りた時に左足の爪が柵にひっかかった。 あまりにも痛いし、この足が動かせないと何があるか解ら…

13.ヘヘ、何だその喋り方

どういう風の吹き回しか林爺さんの家の窓から辺りを見回しては偉そうにしているマルだが、どの道また追い出されるに決まっている。無駄な喧嘩をするのが趣味だからだ。 「だからと言って何なんだ、ジョルジュ。お前こそえらく上品ぶってるな?僕ってか!」 …

12.好きになること

ライザの話によると「丸っちい虎がやたらと怖い話をしてくる」これはバッキーだな‥「あと白にグレイ斑のマリリン・マンソンみたいなのが用心棒を買って出て来る」ふん、マルだろう‥との事だった。やっぱりあいつらは馬鹿だ。マルの用心棒はよく解らないが、…

11.キャバレー

かの女はぐるりと一回転して伸びをした。 「私の住んでいる所。でもあなたも住んでいるんでしょ?」 そう言われてみればそうだが、じゃあ何が知りたいというのかがよく解らない。 「私の名はライザ。なんでか解る?」 ライザと言えば姉貴のこれも何十回も観…

10.みゆちゃん

姉貴のいる集合住宅の1階の謎めいた一家と暮らしているグレイに縞、長毛の女子はちょっと気になっている。 初めて見かけたのはかの女がそのオーナーらしき若い人間の女と公園を散歩していた所だ。丁度俺がヴェランダから辺りを見ていた時に声をかけてきた。…

9.デイパックで来た俺

俺の母ちゃんも兄弟も黒だった。なんで俺だけが白黒の美猫に生まれたかは解らない。多分父親が黒じゃなかったんだろうが、そんな事は知るものか。 そんなある日、俺は黒の兄弟と2人、プラスティックの箱のような物に入れられた。 「何だこりゃ!」 「知らな…

8.迷路の不満

「ダニーんちのパパが仔猫たちを飼うんだってよ!」 それがどうした。俺もバッキーもウリカを無視してだらだらしていた。インドマンションの猫の誰かが去勢もしていなければ避妊もしていなかっただけの話。 「ダニーが当惑してるわ」 「そういや仔猫達はグレ…

7.こいつらときては!

やたらと喧嘩を売って来る奴等がいる。俺としては偶に散歩に出ていい空気が吸いたいだけなのだが。バッキーもそうだった。 「お前は何様のつもりだ!」 何様もクソも俺は煙草を喫う奴等の家に運悪くやってきたから外の空気が吸いたいだけだというのに訳の解…

ムスク路地.6/ネット

「それがどうした」 インドマンションの仔猫の事など俺の知った事ではない。だいたい偽アビシニアンの癖にウリカは態度が大きい。見た目が可愛いからというので姉貴はヤツがウチに入って来ても追い払わないから厄介だ。 「ダニーの親が仔猫に餌をやろうが知…

ムスク路地.5/トム・クルーズ

トム・クルーズのファン向け公開記者会見に参加出来るメンバーはトムのファンだろう。ましてやアリーナ席に座るというのは余程に熱狂的ファン活動を日頃から行っている人々…皆、さぞかしトムの為にオシャレをしているに違いない。 わたしなどもう53。どうオ…

ムスク路地.4/『私のお気に入り』

「だいたいお前の姉ちゃんなんざネット弁慶よ!」 「何だと!」 灰色虎ダニーに俺は食って掛かったが奴はニヤニヤして横たわった。俺を好きなのか舐めてかかっているかのどちらかに違いない。 仔猫たちへのアピールは無視された。 しかし放っておくと地域猫…

ムスク路地.3/大吼一声

「ところでウチのインドマンションの3階に店が出来てさ!アンタんちの姉さんもよく来てるよ!」 ヒトがトイレしている時に話しかけてくるのはインドの宝石商ん家の偽アビシニアンのウリカ…美形だからトイレ中に話しかけて来ても怒りはしないが、こいつは確か…

ムスク路地2

俺に黙っていろと言われてもそれは仕方のない事だ。 寡黙な男、それが俺。上品なジレともとれる柄を姉貴は雨のカス札と笑うがあれはあれでジョーカーのようなもの、するとまた声がした「うるさい!」。 国体道路にある洋食屋の海老フライをたべに行きたいと…

創作はじめました『ムスク路地』

何時だかそんな事はよく知らない。俺には時計がないし時間もよく解らないから匂いと明かりで生きている。 「いい加減にしろよ!」